BUN(尿素窒素)が高い・低い原因と、クレアチニン比の読み方

文:中原 秀一郎(精密栄養カウンセラー)2026年10月19日

BUN(尿素窒素)は、食事や体のたんぱく質が分解されてできる尿素が血液中にどれだけあるかを、尿素に含まれる窒素の量で表した数値です。高いときは水分不足、たんぱく質の摂取量の多さ、腎臓の働きの低下など、低いときはたんぱく質の不足などが理由として考えられます。どれに当たるかはBUNだけでは決まらず、クレアチニンやほかの項目と組み合わせて読むことで手がかりが増えます。

BUN(尿素窒素)は何を表す数値か

食事のたんぱく質はアミノ酸に分解されて吸収され、筋肉や酵素などの材料になります。体の中でも毎日、古いたんぱく質が分解され、作り直されています。余ったアミノ酸や分解されたたんぱく質からは、窒素を含む部分が外れてアンモニアが生じます。

アンモニアは体にとって有害なので、肝臓で尿素回路(オルニチン回路)によって尿素に作り変えられます。尿素は血液に乗って腎臓に運ばれ、ろ過されて尿として出ていきます。この尿素に含まれる窒素の量を測ったものがBUNです。結果票では「UN」や「尿素窒素」と書かれていることもあります。

この流れから、BUNには次の3つが重なって映ります。

  • たんぱく質がどれだけ分解されているか(食事の量と、体のたんぱく質の分解)
  • 肝臓が尿素を作る働き
  • 腎臓が尿素を外に出す働きと、体の水分の状態

見落とされやすいのが、3つ目の水分の状態です。腎臓でろ過された尿素の一部は、尿細管で再び吸収されて血液に戻ります。体の水分が少なく尿が濃いときほど戻る量が増えるため、同じ人でも水分の状態によってBUNは上下します。

基準範囲

日本臨床検査標準協議会(JCCLS)の共用基準範囲では、BUN(尿素窒素)は男女とも8〜20 mg/dLです。あわせて見ることの多いクレアチニンは、男性0.65〜1.07 mg/dL、女性0.46〜0.79 mg/dLとされています。医療機関によって独自の範囲を使うこともあるので、手元の結果票の範囲もあわせて確認してください。

BUNが高いときに考えられること

水分が足りていない

汗を多くかいた日、運動やサウナのあと、水分をあまり飲まずに採血に行った日などは、BUNが高めに出ることがあります。下痢や嘔吐が続いたときも同じです。このときクレアチニンはあまり動かず、BUNが先に上がりやすくなります(脱水が強いと、クレアチニンも上がります)。

たんぱく質の摂取量が多い

肉や魚、卵、プロテインなどを多く摂っていると、分解される窒素が増えてBUNも上がりやすくなります。健康な若い男性の研究では、たんぱく質を体重1 kgあたり2.4 gにした食事を1週間続けると、1.2 gのときに比べてBUNが上がったと報告されています。

体のたんぱく質の分解が進んでいる

発熱や強い感染症、大きなけがのあと、ステロイド薬を使っているとき、甲状腺の働きが強すぎるときなどは、体のたんぱく質の分解が進み、BUNが上がることがあります。食事量を急に大きく減らした直後の数日も、筋肉のたんぱく質がエネルギー源に回されて一時的に上がることがあります。制限が長く続くと、摂るたんぱく質が減るぶん、反対に下がっていくことが多くなります。

消化管からの出血

胃や十二指腸などで出血すると、腸に出た血液が食べ物のたんぱく質と同じように消化・吸収され、尿素の材料になります。体の血液が減って腎臓に流れる血液が減ることも重なり、BUNが上がって、クレアチニンとの比も高くなりやすくなります。ただし、比が高くないから出血がないとは言えません。黒っぽい便が続く、ふらつきがあるといったときは、次の検査を待たずに医療機関を受診してください。

腎臓の働きが落ちている

腎臓が尿素を十分に出せなくなるとBUNは上がり、クレアチニンも一緒に上がるのが一般的です。ただ、BUNは食事や水分の影響を受けやすいため、腎臓の働きそのものは、クレアチニンから計算するeGFR(推算糸球体ろ過量)や尿検査で評価されます。BUNが少し高いだけで腎臓の病気と決まるわけではありません。心臓の働きや一部の薬の影響で腎臓に流れる血液が減り、BUNが上がることもあります。

BUNが低いときに考えられること

たんぱく質の摂取量が少ない

健康な人でBUNが低めに出る理由として、よくあるものの一つです。食事量が少ない、主食や野菜が中心で肉・魚・卵・大豆製品が少ない、食事制限をしているといった場合に、分解される窒素が減ってBUNは低めに出やすくなります。

水分を多く摂っている・妊娠中

水分を多く摂って尿の量が増えていると、尿細管で血液に戻る尿素が減るため、BUNは低めに出ることがあります。妊娠中は腎臓のろ過量がおよそ5割増えるため、BUNもクレアチニンも低めに出ることが多くなります。

肝臓が尿素を作る力が大きく落ちている

肝臓の働きが大きく落ちると、アンモニアから尿素への変換が進まず、BUNが下がります。ただしこれは肝硬変が進んだ状態など、限られた場面の話です。その場合はアルブミンや血小板、ビリルビンなどにも変化が出るのがふつうで、BUNが少し低いだけで肝臓の働きの低下を考える必要はありません。

BUN/クレアチニン比の読み方と限界

クレアチニンは筋肉の中で一定のペースで作られ、BUNに比べると食事や水分の影響を受けにくい項目です。そのためBUNとの比は、BUNの動きが腎臓によるものかどうかの見当をつける手がかりになります。ただし、筋肉量が多い人、クレアチンのサプリメントを飲んでいる人、採血の前に肉をたくさん食べた人ではクレアチニンが高めに出て、比は低めになることがあります。筋肉量が少ない人や女性では、比は高めに出やすくなります。

比は、BUNの値をクレアチニンの値で割って求めます。共用基準範囲の健康な人の中間値どうしで計算すると、男性でおよそ15、女性でおよそ19です。従来は20を超えるかどうかが目安とされてきましたが、日本の健康な人、特に女性にはそのまま当てはまりにくいと考えられます。表の「高め」「低め」は、男女それぞれのこの値と比べたときの傾向です。

BUNクレアチニンBUN/クレアチニン比考えられること
高い基準範囲内高め水分不足、たんぱく質の摂取量が多い、体のたんぱく質の分解、消化管からの出血
高い高い高めのことも、ふつうのこともある腎臓の働きの低下、または強い脱水・心臓の働きの低下・出血などで腎臓に流れる血液が減っている可能性(早めに医療機関へ)
低い基準範囲内低めたんぱく質の摂取不足、水分を多く摂っている、妊娠中、肝臓の働きの大きな低下

これはあくまで目安で、比で原因を見分ける力は高くないという研究報告もあります。比だけで決めずに、BUNとクレアチニンそれぞれの値と、ほかの項目を一緒に見てください。どちらも高いときや、気になる組み合わせが続くときは、医療機関で相談してください。

精密栄養学ではどう見るか

基準範囲の内側の偏りを見る

8〜20 mg/dLという基準範囲は幅が広く、範囲内でも9と19では体の中で起きていることが違う可能性があります。共用基準範囲のもとになった健康な人のデータでは、真ん中の値は男性でおよそ13 mg/dL、女性でおよそ12 mg/dLです。

私はカウンセリングで、BUNは男性で15〜17 mg/dL、女性で14〜17 mg/dLあたりを一つの目安にしています。これは精密栄養学の考え方を参考にした私の見方で、医療の基準ではありません。この目安より低いことだけで、たんぱく質が足りないと決まるわけでもありません。基準範囲内でも10前後と低めの人では、まず食事のたんぱく質の量を振り返り、胃腸の調子が悪い時期が続いていないかも伺います(BUNで消化・吸収の状態が分かるわけではありません)。20近くの人では、採血の日の水分の状態とたんぱく質の摂り方を先に確かめます。

ほかの項目と組み合わせて読む

BUNは、次の項目と一緒に読むことがほとんどです。

  • アルブミン・総たんぱく:BUNが低めで、アルブミンも範囲内の下のほうにあるときは、たんぱく質が足りていない可能性を考えます。
  • γ-GTP:私は精密栄養学の考え方を参考に、BUNとγ-GTPがどちらも低めのときを、たんぱく質が足りていない可能性を考える手がかりの一つにしています。これも医療の基準ではなく、どちらも低いことだけで栄養が足りないと言えるわけではありません。γ-GTPの読み方はγ-GTPのページにまとめています。
  • ナトリウム・ヘモグロビン・アルブミン:これらがそろって高めで、BUNも高いときは、採血の日に水分が足りず、血液が濃くなっていた可能性を考えます。
  • クレアチニン・eGFR:BUNと一緒にクレアチニンが基準範囲を超えているときや、eGFRが60を下回っているときは、腎臓の働きを医療機関で確かめてもらう目安になります。

1回の結果だけで決めず、前回との差や、同じ条件で測ったときの動きを見ていきます。

日常で見直せること

採血の前の条件と水分をそろえる

前の日に大量に汗をかく、激しい運動をする、水分をほとんど摂らずに採血に行くといったことが重なると、BUNは高めに出ることがあります。採血の前の日から当日にかけて、普段どおり水分を摂っておくと、水分不足による見かけの上昇を避けやすくなります。心臓や腎臓の病気で水分の量について医師から指示を受けている人は、その指示を優先してください。

食事を抜く指示がある検査では医療機関の案内に従い、毎回できるだけ同じ条件で測ると、前回と比べやすくなります。

たんぱく質の量を振り返る

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、たんぱく質の推奨量は18〜64歳で男性1日65 g、女性1日50 gとされています。推奨量は、ほとんどの人が不足しない量で、上限ではありません。あわせて、1日のエネルギーのうちたんぱく質から摂る割合の目標量として、13〜20%(50〜64歳は14〜20%)が示されています。

BUNが高めで、プロテインや高たんぱくの食事を続けている人は、1日の合計がどのくらいかを一度数えてみてください。低めの人は、毎食に肉・魚・卵・大豆製品・乳製品のどれかが入っているかを振り返るところから始めます。腎臓の病気で通院している人は、量を変える前に医師や管理栄養士に相談してください。

減量中は、エネルギーとたんぱく質の両方が不足しやすくなります。

気になるときは

BUNが基準範囲から外れる結果が続くとき、BUNとクレアチニンがどちらも高いとき、eGFRの低下や尿たんぱくを指摘されたときは、かかりつけ医や腎臓内科に相談してください。黒っぽい便や吐血、強いだるさやふらつきがあるときは、早めに受診してください。

服用中の薬がある人は、自分の判断でやめたり量を変えたりせず、処方した医師に相談してください。受診するときは過去の検査結果も持っていくと、数値の流れを医師に見てもらいやすくなります。

ほかのコラム

この記事は、一般的な健康情報です。医療行為(診断・治療)ではありません。検査の結果が気になるときや、治療中の方は、医療機関にご相談ください。

参考文献

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  12. 厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』策定検討会報告書

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