白血球数は、体の中で起きている感染や炎症、ストレスなどの影響を映す数値です。白血球は好中球・リンパ球・単球・好酸球・好塩基球の5種類に分けられ、どの種類が増えたか減ったかを見ると、数値の意味が読み取りやすくなります。白血球やリンパ球が低い、好酸球が高いといった結果は一時的な体調でも動くため、1回の値だけで決めず、内訳とほかの項目を合わせて読むことが大切です。
白血球数と5分類は何を表すか
白血球は骨髄で作られ、細菌やウイルスなどの異物から体を守る細胞の総称です。結果票の「白血球数(WBC)」は、血液1μLあたりの数を表しています。
日本臨床検査標準協議会(JCCLS)の共用基準範囲では、白血球数は3,300〜8,600/μLで、男女共通です。「3.3〜8.6(×10³/μL)」や「33〜86(×10²/μL)」と書かれた結果票もありますが、意味は同じです。
内訳は「白血球分画」「血液像」などの名前で、5種類それぞれが全体の何%かを示します。数え方には、人が顕微鏡で見て数える方法と、機械が自動で数える方法があり、健診では機械が多く使われます。下の表の「顕微鏡で数えた場合」は、日本臨床衛生検査技師会と日本検査血液学会のワーキンググループが示した共用基準範囲です。「機械で数えた場合」は、同じ研究で機械で数えたときの健康な人の範囲で、参考として載せています。
| 種類(結果票の表記) | 顕微鏡で数えた場合 | 機械で数えた場合 | 主な役割 |
|---|---|---|---|
| 好中球(Neut・Neutro) | 分葉核球38〜74%、桿状核球0.5〜6.5% | 42.4〜75.0%(2つを分けずに表示) | 細菌や真菌を処理する。炎症で最初に集まる |
| リンパ球(Lymph・Lymphocyte) | 16.5〜49.5% | 18.2〜47.7% | T細胞・B細胞・NK細胞の総称。ウイルスへの対応、抗体作り、免疫の記憶に関わる |
| 単球(Mono) | 2〜10% | 3.3〜9.0% | 組織でマクロファージなどに変わり、異物や古い細胞を処理する |
| 好酸球(Eosino) | 0〜8.5% | 0.4〜8.6% | 寄生虫への対応やアレルギー反応に関わる |
| 好塩基球(Baso) | 0〜2.5% | 0.2〜1.4% | ヒスタミンなどを蓄え、アレルギー反応に関わる。最も少ない |
基準範囲は数え方や施設によって違い、特に好塩基球は数え方による差が大きいため、自分の結果は、結果票に印刷された範囲と照らし合わせてください。
割合(%)だけでなく、数で見ることも大切です。白血球数に割合を掛けると、その種類の数が分かります。同じリンパ球25%でも、白血球数が4,000/μLなら1,000/μL、8,000/μLなら2,000/μLと、実際の数は2倍違います。
白血球数が高いときに考えられること
発熱やけがなど体調の変化があるときに多いのは、細菌感染やけがによる炎症で、主に好中球が増えます。若い好中球である桿状核球の割合が上がっているときは、感染などで骨髄から好中球が多く送り出されている可能性があります。
症状がないのに健診で少し高く出る場合は、次のような要因が関係していることがあります。
- 喫煙。日本人約3万8,000人の健診データでは、喫煙が白血球数の高さと最も強く関係していました。同じ研究で喫煙者を数年追うと、禁煙した人では1年ほどで白血球数と好中球数が下がっていました
- 体格指数(BMI)が高いこと
- 激しい運動の直後や、強いストレスがかかっているとき
- 妊娠中や、ステロイドなど一部の薬を使っているとき
まれに血液の病気が関係していることもあります。高い状態が続く、赤血球や血小板の値も外れている、発熱や体重の減少が続くといったときは、医療機関で詳しく調べてもらってください。
白血球数が低いときに考えられること
風邪などのウイルス感染のあとや、抗がん剤・抗甲状腺薬などの薬の影響で下がることがあります。医療では、好中球の数が1,500/μL未満の状態を好中球減少と呼びます。白血球が低めでも好中球はそれ以上あり、何年も安定していて不調もない人もいますが、体質によるものかどうかは1回の結果では分かりません。初めて基準範囲を下回ったときや、好中球が1,500/μLを下回るとき、下がり続けるときは、医療機関で確かめてもらうと安心です。
栄養の面では、極端な食事制限でたんぱく質やエネルギーが足りない状態や、骨髄で細胞を作るのに欠かせないビタミンB12・葉酸の不足で減ることがあります。銅の不足でも好中球が減り、胃の手術のあとや亜鉛の摂りすぎ、吸収の障害などで起きることが知られています。まれに自己免疫の病気や骨髄の病気が関係することもあるため、急に下がった、ほかの血球も低いというときも医療機関に相談してください。
5分類それぞれが高い・低いとき
好中球
白血球数の増減の多くは好中球の増減によるもので、高い・低いときの理由は上の2つの節とほぼ同じです。
リンパ球
低くなるのは、ウイルス感染の初期、ステロイドの使用、低栄養、手術や重い病気で体に大きな負担がかかっているときなどです。リンパ球の数は、アルブミンやコレステロールと組み合わせて、入院患者の栄養状態をふるい分ける指標(CONUT)にも使われています。
ストレスで出るホルモン(コルチゾールなど)には、リンパ球を一時的に血液から体の組織へ移す働きがあります。人にコルチゾールと同じ成分の薬を注射した研究では、4〜6時間後にリンパ球が大きく減り、24時間後には元に戻っていました。強いストレスの直後に低く出ることがあるのはこのためと考えられますが、ストレスについての研究は動物で短いストレスを見たものが中心で、普段の睡眠不足やストレスが続くだけで下がるかどうかは、はっきりしていません。
高くなるのは、ウイルス感染の回復期が代表的で、喫煙している人でも高めに出る傾向があります。好中球が減って割合だけが高く見える場合もあるので、数で確かめます。数で見てもはっきり多い状態が続くときは、まれに血液の病気が関係することがあるため、医療機関で確かめてもらってください。
単球
感染症の回復期や、長引く炎症で高くなることがあります。数で見ても多い状態が続くときは、まれに血液の病気が関係することがあるため、医療機関に相談してください。低いことが単独で問題になることは多くありません。
好酸球
高いときによく見られるのは、花粉症やアトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギーで、多くは軽い増え方です。ほかに寄生虫、薬への反応、自己免疫の病気などが関係することがあります。医療では、数がおよそ500/μLを超える状態を好酸球増多と呼び、1,500/μLを超える状態が続くときは詳しく調べる対象になります。高い状態が続くときや、せき・息苦しさ・発疹などの症状があるときは、医療機関で原因を確かめてもらってください。低いことは、多くの場合問題になりません。
好塩基球
アレルギー反応に関わり、アレルギーのある人で高めに出ることがあります。まれに血液の病気で増えることもあるため、高い状態が続くときは医療機関に相談してください。0%も基準範囲の内側で、低いことは通常問題になりません。
精密栄養学ではどう見るか
共用基準範囲は健康な人の測定値の真ん中95%が入る区間で、それだけで病気かどうかを判断するものではありません。精密栄養学では、範囲に入っているかどうかに加えて、範囲の中のどこにいて、どちらに偏っているかを見ます。
基準範囲の内側の偏りを見る
白血球数が高めの人ほど、のちの心臓や血管の病気のリスクが高い傾向が、海外の複数の追跡研究で報告されています。ただ、そこで「高め」とされた人の平均はおよそ8,400/μLと日本の基準範囲の上限に近く、多くの人をまとめて見た関係です。一人ひとりの値から病気のなりやすさが分かるものではなく、白血球を下げればリスクが下がると確かめられたわけでもありません。
医療の基準ではなく私の読み方ですが、範囲内でも上限や下限に近い値が続くときは、その背景にある生活や栄養の状態を確かめ、前回からどちらに動いたかも合わせて見ます。
好中球とリンパ球のバランス
好中球の数をリンパ球の数で割った値(NLR)は、炎症やストレスの状態を映す指標として研究が進んでいます。ベルギーの働く世代の健康な成人約400人では、おおよそ0.8〜3.5でした。ただし一つの研究での分布で、医療で決まった基準値ではなく、年齢や測った時刻などでも変わります。私は、白血球数が範囲内でも好中球側に偏った状態が続くときは、喫煙や睡眠、ストレスなど、生活の中で見直せる点を考える手がかりにしています。炎症が続いていないかを確かめるには、CRPなどの検査と医療機関での相談が必要です。
ほかの項目と組み合わせて読む
白血球の数値だけで結論は出しません。炎症を見るならCRP、栄養状態を見るなら総たんぱくやアルブミン、コレステロールを合わせて見ます。白血球が低めのときは、赤血球の大きさ(MCV)や鉄・フェリチンも並べて、ビタミンB12・葉酸・鉄など、栄養の面で見直せる点がないかを考えます。白血球が下がった原因を確かめるのは医療機関の役割です。
読み方の例:好塩基球とメチル化
私自身、以前の血液検査で、好塩基球がやや高めに出たことがあります。ヒスタミンは主に好塩基球やマスト細胞に蓄えられていて、分解する経路の一つにはメチル化(メチル基を付ける反応で、葉酸やビタミンB12などが関わる)が使われます。このつながりから、精密栄養学の一部の考え方では、好塩基球をメチル化の状態を考える手がかりの一つとして見ることがあります。
ただし、これは医学的に確立した見方ではありません。ヒスタミンのメチル化は主に腎臓や肝臓などの細胞の中で起きるもので、好塩基球の数がメチル化の状態や、葉酸・ビタミンB12などを摂ることで変わると確かめた研究は、私が調べた範囲では見当たりません。また好塩基球は白血球の1%ほどで、顕微鏡で200個数える方法では1%が2個に当たり、範囲の中の小さな違いは測るたびに変わる程度のものです。私の場合も、ほかの項目と合わせて、ビタミンB群が関わる栄養の状態を見直すきっかけにした、という読み方です。
日常で見直せること
白血球は体調で動きやすい数値です。前日の激しい運動や睡眠不足、風邪気味のときの結果は普段の値と分けて考え、前回と比べるときはできるだけ同じ条件で測ります。
- 睡眠とストレス:強いストレスの直後は、ホルモンの働きでリンパ球が一時的に減り、好中球が増えることがあります。採血の前の晩はよく眠っておきます
- 喫煙:白血球数を押し上げる大きな要因です
- 食事:極端な食事制限を避け、たんぱく質とエネルギーを十分に摂ります。ビタミンB12(魚介・肉・卵・乳製品)、葉酸(緑の野菜・豆)、銅や亜鉛(魚介・肉・ナッツ・豆)など、血液の細胞を作る栄養素を食事全体で摂ります。量の目安は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」が参考になります。亜鉛をサプリで多く摂り続けると銅が吸収されにくくなり、かえって好中球が減ることがあるため、量に注意します
気になるときは
次のようなときは、自己判断で様子を見続けず、医療機関で相談してください。
- 白血球数や5分類のどれかが、基準範囲から大きく外れている
- 外れた状態が、時間をあけた再検査でも続いている
- 赤血球や血小板の値も同時に外れている
- 発熱、強いだるさ、体重の減少、あざができやすいなどの症状がある
服用中の薬が白血球に影響している可能性があるときも、自分の判断で薬をやめず、処方した医師に相談してください。